切り抜き・二次創作・ファンアートのガイドライン:許諾の範囲と、公表・変更・無断利用への対応

切り抜きも二次創作も、出発点は権利者の許諾です。許したい範囲を決めて公表し、止めたいときは記録から始めます。

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「自由に使ってよい」と書くと、物販や有料の会員制まで許したと読まれ、後から止めにくくなります。

このページの要点

  • 切り抜きは複製・公衆送信(21条、23条)、編集や二次創作は翻案・二次的著作物(27条、28条)に関わる。引用(32条1項)で足りる場面は狭い。
  • 許諾できるのは権利を持つ人だけ。声・キャラクター・モデル・映像・素材・共演者の権利が分かれるときは、対象外の部分を明記する。
  • ガイドラインには、対象・許可する行為・禁止する行為・収益化の種類別の可否・クレジット・取下げ・変更を書き、「自由に」とは書かない。
  • 無断利用には、記録、範囲の確認、連絡、プラットフォームの手続の順に対応する。差止請求(112条1項)などは最後の段階。

結論:切り抜きも二次創作も、許諾が出発点。許したいなら範囲を決めて公表し、止めたいなら記録から始める

配信の一部を切り出した動画(切り抜き)や、キャラクターを題材にした絵・動画・漫画・小説(二次創作、ファンアート)は、配信者にとっては宣伝になる一方で、権利の面では「他人の著作物を利用する行為」です。利用する人は、権利者の許諾を得るか、著作権法が定める例外に当たることが必要です。そのため、配信者の側から見ると、「どこまで許すのか」を決めて、ファンに分かる形で公表することが、トラブルを減らす最も現実的な方法になります。

このページでは、切り抜き・二次創作を許す側(または止める側)の配信者が、何を決め、どう公表し、無断の利用にどう対応するかを順に整理します。切り抜きや二次創作を作る側がガイドラインをどう読むかも、あわせて触れます。

このページで決めること(全体の要点)

  • 許す範囲:対象とする配信・動画、許す行為(切り抜き、字幕、絵、グッズ、動画の再編集)。
  • 許さない範囲:禁止する行為(誹謗中傷、成人向け、政治・宗教、公式と誤認させる表現、無断の物販など)。
  • 収益化:広告収益、投げ銭、会員制、物販のそれぞれを可とするか、不可とするか。
  • クレジットと取下げ:出所の表示の方法、求めがあったときに取り下げる条件。
  • 公表と変更:どこで、いつの版を公表するか。変更・撤回のときの周知の方法。
  • 権利者が複数いるときの整理:誰が許諾する立場か(配信者本人か、所属先か、キャラクターの権利者か)。

配信者の契約全体の中での位置づけは配信者の契約の全体像で図にしています。キャラクターや中の人の権利そのものの設計は、別のガイドで扱っているため、このページでは、ファンや不特定多数に向けて公表する文書に絞ります。

切り抜き・二次創作は、法律上は何にあたるのか

切り抜きは、配信や動画の一部を取り出して新しい動画にするものです。この作業は、元の動画を複製し(21条)、それをインターネットで公衆に送信する(23条1項)ことにあたります。字幕を付けたり、順序を入れ替えたり、解説を加えたりすれば、元の著作物を変形し、又は翻案して新しい著作物を作ることにもなります(27条)。

二次創作も同じ構造です。元のキャラクターを描いた絵や、元の作品を題材にした漫画・小説は、元の著作物を翻案して作られた二次的著作物(2条1項11号)にあたりえます。そして、二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関して、二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有します(28条)。つまり、二次創作を作った人が自分の作品を公開したり、グッズにしたりするときにも、原著作物の著作者の許諾が関わります。

著作者人格権の面でも注意があります。著作者は、その著作物の同一性を保持する権利を有し、その意に反して変更、切除その他の改変を受けません(20条1項)。実演家にも、自己の名誉又は声望を害する実演の改変を受けない権利があります(90条の3)。切り抜きで文脈を切り取って意味が変わる、声を加工して別の発言のように聞こえさせる、といった編集は、権利者の意に反する改変として問題にされることがあります。

切り抜き・二次創作で関わる権利の整理

行為関わる主な条文許諾で決めること
配信の一部を切り出して公開する(切り抜き)複製(21条)、公衆送信(23条)、実演家の録画権・送信可能化権(91条、92条の2)対象の配信の範囲、切り出す長さ、元の配信へのリンクの表示
字幕・編集・効果を加える翻案(27条)、同一性保持権(20条、90条の3)許す編集の程度、禁止する編集(意味を変える加工、別人の発言に見せる加工)
キャラクターの絵・漫画・小説を作る翻案・二次的著作物(27条、28条)題材にしてよいキャラクターや設定の範囲、公式と誤認させない表示
作品をグッズ・物販にする複製・譲渡・翻案(21条、27条、28条など)物販を認めるか。認める場合の範囲(個数・価格・販売場所)
作品を収益化して公開する各権利の利用広告、投げ銭、会員制の収益を認めるか。配信者への分配や許諾料を求めるか
出所を示す氏名表示権(19条、90条の2)、引用の出所配信者名・チャンネル名の表示方法、元動画へのリンク

「ファンがやっていることだから問題ない」「宣伝になるから許される」という考え方は、法律上の根拠にはなりません。許されるのは、権利者が許諾した範囲です。許諾が明示されていない利用は、権利者が事実上黙認しているにすぎない状態です。黙認は、いつでも終わらせることができ、権利者が方針を変えたときに、ファンの側が不意を突かれる原因になります。だからこそ、許す範囲を文書にして公表する価値があります。

「引用」で足りるのか:切り抜きで引用の例外が成り立つ場面は狭い

切り抜きを作る側が、「引用なので許諾は不要」と説明することがあります。公表された著作物は、公正な慣行に合致し、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われる場合に限り、引用して利用できます(32条1項)。

この規定は、新しい自分の表現の中に、他人の著作物の一部を、必要な範囲で取り込む場合を想定しています。そのため、一般に、引用する側の部分が主で、引用された部分が従であること、引用の目的があること、引用部分が区別できること、出所が示されていることなどが問われます。配信の見どころだけを集めた動画や、配信をほぼそのまま短くした動画は、新しい表現の部分が少ないため、引用の例外に当たるかの判断が難しくなります。

配信者として許諾の文書を作るときは、「引用の例外に当たるかどうか」の議論に頼らず、許す場合は許す範囲を決め、許さない場合は許さない範囲を決めて、公表します。ガイドラインの目的は、引用の可否を争うことではなく、権利者が示した範囲を、ファンが知って使えるようにすることです。配信者自身が他人の作品を配信に載せる場面の権利処理は、ゲーム実況・BGM・他者の作品を配信するときの権利処理で整理しています。

誰が許諾する立場なのか:権利が分かれているときの整理

配信者の切り抜きや二次創作を許すとき、まず確認すべきは、「許諾できるのは誰か」です。配信の映像に含まれる権利は、一人の配信者が全部を持っているとは限りません。

配信に含まれる権利と、許諾できる立場

含まれるもの権利者になりうる人確認すること
配信者の声・演技・話芸配信者本人(実演家)所属先との契約で、実演の利用を所属先に許諾していないか。許諾している場合、切り抜きの許諾は所属先が窓口か
キャラクターの絵・立ち絵イラストレーター(著作者)、またはその譲受人制作時の契約で、二次利用や二次創作の許諾の権限が誰にあるか
3Dモデル・動かす仕組みモデル制作者、またはその譲受人利用許諾の範囲に、動画の再編集や物販が入っているか
配信の映像そのもの(編集された映像)映像の編集者・制作者(共同の場合もある)編集を外注した場合、制作契約でどこまでを譲渡・許諾しているか
BGM・効果音・背景素材各素材の権利者素材の規約が、再編集や二次配信の許可を含むか
ゲームや他人の作品の映像作品の権利者切り抜きは、元の配信と同じ範囲内の利用か。権利者のガイドラインに再編集の条件があるか
共演者・ゲスト共演者本人(実演家)同意の範囲に、アーカイブや切り抜きの公開が入っているか

この表のうち、一つでも許諾の権限が配信者にない素材があれば、その部分を含む切り抜きや二次創作を、配信者が一律に許可することはできません。許諾する文書は、「配信者が許諾できる部分に限る」という形にしておくか、素材ごとに許可の範囲を分けて書くのが安全です。他人の素材が含まれる動画は、「許可の対象外」として明示する書き方もあります。

著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができます(63条1項)。ただし、許諾を得た者が利用できるのは、許諾に係る利用方法及び条件の範囲内であり(同条2項)、利用権は、著作権者の承諾を得なければ譲渡できません(同条3項)。ガイドラインに「この範囲で許可する」と書けば、その範囲を超える利用は許可していないことになります。許諾を受けた人が、その権利を他人に譲ったり、再許諾したりできないことも、あらかじめ書いておくと誤解が減ります。

ガイドラインに書くこと:型と書き方の例

配信者が切り抜きや二次創作を許すときの文書は、一般に「ガイドライン」「利用規約」「二次創作の指針」などの名前で公表されます。名前は何でも構いませんが、書くべき内容には共通の型があります。次の表は、項目と、書き方の注意点を整理したものです。

ガイドラインの項目と書き方の注意

項目書く内容書き方の注意
目的・趣旨許す理由(応援してもらうため等)と、守ってほしいこと趣旨と条項が食い違わないようにする。趣旨だけで条項を補わない
対象対象とする配信・動画、キャラクター、期間対象外(有償の配信、共演者の素材、他人の作品が入る部分など)も書く
許可する行為切り抜き、字幕、紹介、絵、動画の再編集、グッズなど行為の種類を具体的に。「自由に利用してよい」とは書かない
禁止する行為誹謗中傷、成人向け、公序良俗に反するもの、公式と誤認させる表示、無断の物販、本人や共演者への迷惑行為など禁止の理由を短く添えると、守られやすい
収益化広告収益・投げ銭・会員制・物販の可否と条件種類ごとに書く。書かない種類は「許可していない」と明記する
クレジット・表示配信者名、元動画へのリンク、「非公式」の表示表示の位置と方法まで決めると、後で確認しやすい
取下げ求めがあったときに応じる期限と手続連絡の方法を決める。応じない場合の扱いも書く
違反したとき警告、取下げの求め、許諾の取消し段階を決める。損害賠償まで書くかは、公表する目的と相手の範囲で検討する
変更・撤回変更の周知方法、効力の発生時期公表の場所と版の日付を決める。古い動画の扱いも書く
問い合わせ許可の範囲外の利用を希望する場合の連絡先個別の許諾を受けるための窓口。氏名や住所を出さずに連絡できる方法にする

条文の例ガイドラインの条文の一般的な書き方の例

  1. 当チャンネルの配信を使った切り抜き動画の公開は、本ガイドラインの範囲内で許可します。ただし、他人の著作物(ゲーム、音楽、映像、画像等)が含まれる部分は、その権利者の方針に従ってください。
  2. 切り抜き動画には、元の配信へのリンクを概要欄の目立つ位置に掲載し、「非公式の切り抜きである」旨を表示してください。
  3. 次の行為は許可しません。(1)配信者または共演者への誹謗中傷その他の迷惑行為、(2)発言の意味を変える編集または加工、(3)当方の許可なく行う物品の販売、(4)公式の発信と誤認させる表示。
  4. 広告収益は、元の配信の条件に反しない範囲で認めます。有料の会員制その他の収益化は、事前に許可を得てください。
  5. 当方は、本ガイドラインに反する動画について、取下げを求めることがあります。求めを受けた場合は、速やかに取り下げてください。
  6. 当方は、本ガイドラインを変更することがあります。変更後の内容と適用日は、当チャンネルの固定された場所で公表します。変更の日より前に公開された動画の扱いは、公表する内容に従います。

条文の番号は付けず、ファンが読みやすい順に並べる例です。金額・数量・期間などの具体的な数字は、運営の実態に合わせて決めます。

書き方の例(一般的な例) ガイドラインの書き方

許可の範囲

よくある書き方当チャンネルの動画は、自由に切り抜き・編集して利用していただいて構いません。
整えた書き方当チャンネルの配信を使った切り抜き動画の公開は、次の範囲で許可します。(1)元の配信へのリンクを掲載すること、(2)発言の意味を変える編集をしないこと、(3)他人の著作物が含まれる部分は、その権利者の方針に従うこと。

理由「自由に」は範囲が分からず、後で配信者が止めたい場面でも根拠が弱くなる。範囲を条件として書く。

収益化

よくある書き方収益化も問題ありません。
整えた書き方広告収益は認めます。会員制、投げ銭、物販は事前の許可を要します。

理由収益の種類ごとに書き、書かない種類を許可しないと明記する。

取下げ

よくある書き方不適切な動画は削除を依頼することがあります。
整えた書き方本ガイドラインに反する動画、または当方が不適切と判断した動画について、取下げを求めることがあります。求めを受けた場合は、○日以内に取り下げてください。

理由取下げの条件と期限を書く。「不適切」の判断が一方的に見えないよう、基準も添える。

公表の方法と法的な位置づけ:ガイドラインは契約か

ガイドラインを公表することは、権利者が「この範囲なら利用してよい」という許諾の意思を、不特定の人に向けて示すことです。利用する人が、この範囲に従って利用すれば、その範囲で許諾を得たことになります(63条2項)。範囲を超える利用は、許諾の範囲外です。

ガイドラインが「契約」にあたるかは、文書の書き方と運用で変わります。特定の者が不特定多数を相手に行う、内容が画一的な取引で、契約の内容とすることを目的として準備された条項の総体は、定型約款にあたりえます(民法548条の2第1項)。ただし、ガイドラインの利用者との間に「取引」と言える関係があるか、利用者が契約に同意しているといえるかは、個別に検討する必要があります。ここでは、契約に当たると言い切らず、「許諾の範囲を示す文書として、条件の読み方が争われることがある」という前提で作ることを勧めます。

公表の場所は、探しやすく、時期の分かる場所を選びます。チャンネルの固定された説明欄、専用のページ、プロフィールから辿れる文書などです。複数の場所に書くときは、同じ内容にそろえ、版の日付を付けます。配信者の名前の表記や連絡先は、本人が決めた範囲で、公表してよい情報に限ります。

変更や撤回の場面では、変更の周知方法と効力の発生時期を決めておく必要があります。定型約款として扱われる場合の変更には、一定の要件があります(民法548条の4)。ガイドラインがその対象になるかは別として、ファンの予測を守る観点から、変更の予告期間を置く、変更の履歴を残す、古い版を確認できるようにする、という運用は有効です。なお、すでに公開された動画に対する変更後の方針の適用については、そのまま適用するのか、公開時点の方針に従うのかを、ガイドラインに書いておくと誤解が減ります。

署名の前の問いと理由公表する前に確かめる問い

  1. 許諾の権限が配信者にない素材を、対象から外したか。

    他人の作品や共演者の素材を含む動画を、配信者が許可したように読めると、権利者との間で問題になるため。

  2. 「許可する行為」と「許可しない行為」が、どちらも具体的に書かれているか。

    範囲が曖昧だと、ファンも運営側も判断できず、取下げを求める根拠も弱くなるため。

  3. 収益化の種類ごとに可否が書かれているか。

    書かれていない収益化が、許可されていると読まれやすいため。

  4. 変更・撤回の手順と、すでに公開された動画の扱いが書かれているか。

    方針を変える自由を残しつつ、ファンの予測を守るため。

  5. 所属先や制作者との契約で、ガイドラインの公表に同意や手順が定められていないか。

    許諾の窓口が所属先に集約されている場合、配信者が単独で公表すると契約違反になりうるため。

無断の切り抜きや二次創作への対応:順序と、法律上の手段

ガイドラインの範囲を超える利用や、そもそも許可していない利用に気づいたときは、順序を踏んで対応します。法的な手段もありますが、最初から最後の手段に進むのではなく、記録、連絡、プラットフォームの手続、と段階を踏むのが一般的です。

無断利用に気づいたときの対応の順序

記録する動画のURL、投稿者名、日時、内容を画面で保存し、日付を控える
範囲を確認ガイドラインの範囲内か、範囲外か。許諾の窓口が自分かを確認する
投稿者へ連絡個別の許諾か、取下げを求める。感情的な表現を避け、事実と求めることを書く
プラットフォームの手続権利侵害の申立てなど、プラットフォームが用意する手続を確認して使う
それでも解決しないとき著作権法上の差止請求などの手段がある。手続の進め方は条文と手続の案内で確認する

各段階の記録を残しておくことが、後の判断の土台になります。

著作者や著作権者、実演家は、著作者人格権、著作権、実演家人格権などを侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、侵害の停止又は予防を請求することができます(112条1項)。また、著作権を侵害した者には刑事罰の定めがあり、法定刑は十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金などです(119条1項)。ただし、これらの罪は、原則として告訴がなければ公訴を提起することができません(123条1項。例外は同条2項)。

こうした手段は、権利の侵害が明らかな場合の最後の段階です。ガイドラインの範囲内の利用を侵害と扱って対応を誤ると、ファンとの関係を損なうだけでなく、不当な請求として問題にされるおそれもあります。対応の前に、利用が範囲内か範囲外かを、ガイドラインの文言と照らして確認します。

切り抜く側・描く側から見たガイドラインと、起きがちなこと

切り抜きや二次創作を作る側は、ガイドラインを読むときに、次のことを確かめます。

作る側が確かめること

  • ガイドラインが公表された場所は公式か。他の場所の転載や、古い版ではないか。
  • 自分の作品が「対象」に入っているか。対象外の素材(他人の作品、共演者、素材サイト)を含んでいないか。
  • 収益化の種類(広告・投げ銭・会員制・物販)が、許可の範囲内か。書かれていない種類は、許可と読まない。
  • クレジットの表示を、求められた方法で行っているか。
  • 取下げを求められたときの手順と期限を理解しているか。
  • ガイドラインが変更されたとき、自分の作品がどう扱われるか。

ガイドラインに、AIの学習への利用についての意向を書く例も見られます。著作物は、思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において利用できるとされていますが、著作権者の利益を不当に害することとなる場合は除かれます(30条の4)。この条文の当てはまり方は事案により異なるため、配信者の意向として「望まない」と書いておくか、ガイドラインの対象外として扱うかは、条文と所管官庁の資料で確認してから決めます。

起きがちなこと

  • 「自由に使ってよい」と書いたため、物販や有料の会員制での利用まで許したと主張されて、止めにくくなる。
  • 共演者の素材や他人の作品が入った動画まで許可したように読める文書になり、権利者から指摘を受ける。
  • 切り抜きの編集で発言の意味が変わり、配信者本人や共演者が不利益を受けても、禁止行為に書いていなかったため対応が難しくなる。
  • 所属先や制作者との契約で、二次利用の許諾が所属先の窓口に集約されているのに、配信者が単独で公表してしまう。
  • ガイドラインの変更を告知せず、過去に許可した動画を後から削除させて、ファンとの間で争いになる。
  • 無断の利用に気づき、記録を取らないまま投稿者に連絡して、後から事実が確認できなくなる。

ガイドラインは、公表して終わりではなく、運用して初めて意味を持ちます。報告のあった動画への対応方針、許可の例外を認める窓口、見直しの時期を、配信者の側で決めておくと、ファンも安心して制作できます。複数人で運営するチャンネルでは、公表の権限と、取下げを求める権限を誰が持つかも、運営者どうしで決めておく必要があります。この点はチャンネル・企画の共同運営とコラボの取り決めのページで扱っています。

よくあるご質問

切り抜きを許可したいときは、何を決めて公表すればよいですか。

対象とする配信・動画の範囲、許可する行為、禁止する行為、収益化の可否(広告・投げ銭・会員制・物販の別)、クレジットの表示、取下げの条件、変更・撤回の周知方法を決めて、探しやすい場所に公表します。他人の作品や共演者の素材が含まれる部分は、配信者に許諾の権限がないため、対象外と書きます。権利者が複数いるときは、誰が許諾する立場かも整理します。

「引用」と書けば、許可なく切り抜きを公開できますか。

引用は、公正な慣行に合致し、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われる場合に認められます(著作権法32条1項)。引用と書くだけでは要件を満たしません。配信の見どころを集めた動画や、ほぼそのまま短くした動画は、新しい表現の部分が少なく、引用に当たるかの判断が難しくなります。許可を受けるか、ガイドラインの範囲内で作るのが確実です。

二次創作のグッズ販売を許可するかどうかは、どう考えればよいですか。

物販は、複製や譲渡を伴い、元の著作物の権利者の許諾が関わります(著作権法21条、27条、28条など)。ガイドラインでは、物販を認めるか、認める場合の範囲(個数、価格、販売場所、公式との区別の表示)を決めます。認めない場合は、許可しない行為として明記します。キャラクターの権利や商標の権利が別の人にあるときは、その人の許諾の範囲も確認が必要です。

ガイドラインを変更したら、すでに公開された動画はどうなりますか。

変更後の方針を過去の動画にも適用するのか、公開時点の方針に従うのかは、法律が一律に決めているわけではなく、ガイドラインに書かれた内容で決まります。変更の予告期間、公表の場所、版の日付、既に公開された動画の扱いを、あらかじめ書いておくことが、ファンの予測を守る方法です。定型約款にあたる場合の変更には、民法548条の4の要件があります。

無断で切り抜かれた動画を見つけたとき、最初に何をすればよいですか。

動画のURL、投稿者名、日時、内容を画面で保存し、日付を控えます。次に、ガイドラインの範囲内かどうか、許諾の窓口が自分にあるかを確認します。そのうえで、投稿者に取下げを求めるか、個別の許諾を伝え、解決しないときはプラットフォームが用意する手続を確認します。著作権法には差止請求の定めがありますが(112条1項)、記録と連絡の段階を踏むのが一般的です。

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