このページの要点
- 報酬の単位(枠・成果・指標)の定義、数える人、数字の確認手段、異議の期限を確かめる。支払期日は受領日から60日以内で短く(フリーランス法4条1項)。
- 虚偽報告は故意に限り、返還は実施されなかった分に限る書き方を求める。損害賠償の額の予定は、実際の損害から離れると無効になりうる(民法420条、90条)。
- 競業の制限は、契約中と契約後を分け、対象と期間を必要な範囲に絞る。導線の義務は終了後に外す期限も決める。
- 広告であることの表示、コンテンツの権利(配信者に残し範囲を決めて許諾)、更新と解除の通知期限を確認する。継続的業務委託の予告は30日前(16条)。
結論:案件契約は「報酬の数え方」「証明の方法」「ずれたときの戻し方」「終わった後の縛り」の四つを先に読む
企業から、自分の配信やSNSで商品やサービスを紹介してほしいという依頼を受けるとき、契約書の文言は、広告主の側から見た「やってほしいこと」で構成されています。配信者の側から見ると、何をいつまでにすれば報酬が確定するのか、報酬が取り消されるのはどんなときか、終わった後に何が制限されるのか、が分かりにくいことがあります。
確認は、条文を頭から順に読むのではなく、次の四つの問いに沿って行うと整理しやすくなります。
- 数え方:報酬は、何を単位に、誰の数字で確定するのか(配信の枠、問い合わせの件数、再生数)。
- 証明:実施したことを、何を、いつまでに、どの形式で報告するのか。報告が遅れたり、数字が食い違ったりしたとき、どうなるのか。
- 戻し方:虚偽の報告や不履行があったとき、すでに受け取った報酬を、どの範囲で返すのか。損害賠償はどこまで及ぶのか。
- 終わった後:契約が終わった後に、競合する案件の制限や、秘密保持、個人情報の取扱いが、どの期間・範囲で続くのか。
これに加えて、広告であることの表示、作った動画や投稿の権利、契約の期間と更新・解除を確認します。法律の面では、個人の配信者が事業として案件を受ける場合は、フリーランス法が関わることがあります。判定の方法は配信者・VTuberとフリーランス法・取適法で、契約書の全体の読み方は所属契約書・業務委託契約書の点検で扱っています。このページは、広告主から受ける案件契約に絞って説明します。広告主の側がどう契約書を組み立てるかは、ここでは扱いません。
報酬の単位と、成果の証明:何をもって「実施した」とするのか
案件の報酬は、大きく三つの型に分かれます。それぞれに特有の確認点があります。
報酬の型と、確認する点
| 報酬の型 | 内容の例 | 確認する点 |
|---|---|---|
| 枠・回数単位 | 配信1枠、投稿1回、動画1本ごとに一定額 | 「1枠」の長さ、時間帯、内容、再配信やアーカイブの扱い。広告主が指定する時間帯を外した場合の扱い |
| 成果単位 | 問い合わせ1件、申込み1件、登録1件ごとに一定額 | 成果の定義、数える人、重複や無効の扱い、数字を確認できる手段、集計の期間と締め日 |
| 指標単位 | 再生数、視聴者数、クリック数に応じた額 | 指標の取得元、反映の遅れ、不正な数字の除外の基準、下限と上限 |
| 組み合わせ | 枠ごとの定額と、成果ごとの加算 | 枠の報酬が成果の有無で変わらないのか。成果が出なかったときの最低保証の有無 |
成果単位の報酬では、特に「数える人」の確認が重要です。広告主の管理画面の数字が最終とされる契約では、配信者がその数字を確認できる仕組みがないと、数字を争えません。数字に異議があるときの申立ての期限、確認の方法、資料の開示を、契約に書いておけると安全です。成果の定義も、問い合わせが届いた時点か、内容が有効と判断された時点か、広告主の担当者が確認した時点かで変わります。
実施の証明のために、毎月の報告書とインサイトの提出を求める契約があります。報告の期限、形式、提出が遅れた場合の扱いを確認します。報告が遅れたことを理由に、報酬を減額する、または支払わない、という定めがある場合は、その範囲が過大でないかを読みます。報酬の支払期日と請求書の締切は、契約の本文だけでなく、運用でも食い違いがちです。
業務委託を受ける個人の配信者が特定受託事業者(従業員を使用しない個人など)に当たり、広告主が従業員を使用する法人などの特定業務委託事業者に当たる場合は、フリーランス法の規律が関わります。業務委託事業者は、特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、直ちに、給付の内容、報酬の額、支払期日その他の事項を、書面又は電磁的方法により明示しなければなりません(3条1項)。また、報酬の支払期日は、給付を受領した日(役務の提供を受ける場合は役務の提供を受けた日)から起算して60日の期間内で、かつ、できる限り短い期間内に定められなければなりません(4条1項)。契約書にこの内容が書かれていないときは、書面等での明示を求めることができます。
署名の前の問いと理由報酬と証明について署名の前に確かめる問い
報酬の単位(枠・件・指標)の定義は、数えられる形で書かれているか。
定義が曖昧だと、同じ実績でも、広告主と配信者で数字が異なるため。
成果の数字を確認する手段と、異議の申立ての期限が書かれているか。
数字が広告主の管理画面にしかないと、配信者が確かめられないため。
報告の期限と形式、遅れたときの扱いは具体的か。
報告の遅れを理由とした減額や不払いが、過大にならないようにするため。
支払期日が、給付を受領した日から起算して60日以内で、できる限り短く定められているか。
フリーランス法4条1項の規律が関わる取引であれば、これに沿っているかを確認できるため。
指定された時間帯や内容を外した場合の報酬の扱いは書かれているか。
配信の枠単位の契約では、実施の有無の判断が報酬に直結するため。
条件が確認できないときは、書面等による明示を求め、返答を記録に残します。
虚偽報告・不履行と、報酬の返還:「虚偽」の定義と返還の範囲
案件契約には、虚偽の報告や不履行があった場合の定めが置かれることがあります。典型は、配信や投稿を実施していないのに実施した旨を報告した場合に、広告主が催告なしに契約を解除でき、すでに支払った報酬の一定期間分の全額の返還を求められる、という書き方です。
この種の条項について、配信者の側から確認する点は二つあります。一つは、「虚偽」の定義です。故意に事実と異なる報告をした場合と、数え間違いや記録の食い違いが生じた場合とでは、評価が異なります。定義が「事実と異なる報告」とだけ書かれていると、過失による誤りまで含まれてしまう可能性があります。もう一つは、返還の範囲です。実施されなかった分の報酬に限るのか、直近の一定期間の報酬の全額なのかによって、配信者の負担は大きく変わります。
債務の本旨に従った履行をしないとき、債権者は損害の賠償を請求でき(民法415条1項)、当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定できます。違約金は、賠償額の予定と推定されます(420条)。ただし、予定した額が実際の損害に比べて著しく過大であれば、公序良俗に反して無効とされる可能性があり(90条)、定めの内容と事情を個別に検討する必要があります。解除は、催告による解除(541条)が原則で、催告によらない解除ができるのは、債務の履行が不能な場合などに限られます(542条)。催告なしの即時解除を契約で定めるときは、その理由が、履行が不可能であるような重い場合に限られているかを確認します。
書き方の例(一般的な例) 虚偽報告と返還の書き方
「虚偽」の定義
理由故意と過失を区別し、訂正の機会を設けることで、数え間違いが即時解除に直結するのを避ける。
返還の範囲
理由返還を、実施されなかった分に限定し、算定の根拠を示す。
損害賠償
理由「一切の損害」は範囲が無限定になる。通常生ずべき範囲に絞る。
解除の手順
理由催告なしの解除は、重大な場合に限る。それ以外は是正の機会を設ける。
ここで挙げた書き方は、あくまで一般的な例です。広告主の側にも、実施されない報酬を支払い続けないという正当な利益があります。配信者の側は、その利益を認めたうえで、範囲が過大にならない書き方を求める、という姿勢が現実的です。
競業の制限:契約中と契約後、範囲と期間
案件契約には、同種または類似のサービスを提供する第三者の案件を受けてはならない、という競業の制限が置かれることがあります。契約期間中の制限と、契約が終わった後の制限は、分けて考える必要があります。
競業の制限の型と、確認する点
契約期間中の制限
期間中に競合の案件を受けない
- 「競合」の範囲が、契約した広告主の競合に限られるか、同種のサービス全般か
- 事前の承諾が必要か、通知で足りるか
- 制限の対価が報酬に反映されているか
契約終了後の制限
終了後も一定期間、競合の案件を受けない
- 期間の長さと、制限される行為の範囲(広告、情報発信、すべての取引)
- 配信者の他の活動に及ぶほど広くないか
- 解除の理由が広告主の側にある場合も同じ制限か
違反したときの扱い
即時解除と損害賠償
- 違反の定義が明確か
- 損害賠償の範囲と、額の予定の有無
制限は、広告主が守りたい利益に必要な範囲に収まっているかで評価されます。
契約終了後の競業の制限は、配信者の仕事の選択の自由を狭めます。契約の自由は法令の制限内で認められますが(民法521条2項)、制限が広すぎる場合は、公序良俗に反するとして無効とされる可能性があります(90条)。期間が長く、範囲が広く、対価が小さいほど、問題にされやすくなります。フリーランス法5条は、特定業務委託事業者が行ってはならない行為を定めています。報酬の不当な減額(1項2号)などは、政令で定める期間(1か月)以上の業務委託が対象で(施行令1条)、自己のために経済上の利益を提供させること(2項1号)などは、期間を問いません。競業の制限が、これらの禁止行為に当たるかは個別に検討が必要です。
書き方の例(一般的な例) 競業の制限の書き方
契約期間中
理由「同種または類似」は範囲が広すぎる。競合の事業者を特定して、制限の範囲を明確にする。
契約終了後
理由期間を短く、対象を絞る。終了後に及ぶ制限は、必要な範囲に限る。
プロフィール欄・配信中の導線と、個人情報の取扱い
案件によっては、配信者のSNSのプロフィール欄に広告主が指定するリンクを掲載する、配信中に視聴者からの問い合わせを広告主の窓口に案内する、といった義務が課されます。これらの義務は、報酬の発生に直結することが多いため、内容を具体的に確認します。
導線の義務で確認すること
- リンクを掲載する場所(プロフィール、固定投稿、配信の概要欄)と、掲載を続ける期間。
- 契約が終わった後にリンクを外す期限と、外したことを確認する方法。
- 視聴者から問い合わせがあったとき、誰が、どのように案内するのか。配信者自身が回答しない範囲の確認。
- 案内の言い方(誘導の表現)を広告主が指定するのか。指定がある場合、その表現が事実と合っているか。
- 広告主の窓口に視聴者が連絡して生じた問題(返品、苦情、トラブル)の責任が、広告主にあるのか。
契約には、配信者が業務の過程で知り得た広告主の顧客情報や利用者情報を、第三者に開示せず、目的外に使わず、契約終了時に返却または廃棄する、という個人情報の条項が置かれることがあります。個人情報取扱事業者は、利用目的をできる限り特定しなければならず(個人情報保護法17条1項)、あらかじめ本人の同意を得ないで、利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはなりません(18条1項)。また、個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じる必要があります(23条)。第三者へ個人データを提供するときは、原則として、あらかじめ本人の同意が必要です(27条1項)。
配信者の立場では、広告主から個人情報を受け取るのか、それとも自分の視聴者の情報を広告主に渡すのか、を区別して考えます。視聴者の連絡先や、コメントから得られる情報を、広告主に渡す構造の案件は、視聴者の同意や利用目的の説明が必要になる可能性があります。契約に「視聴者の情報を提供する」といった定めがあるときは、提供の方法と、本人への説明の手順を確認します。配信中の個人情報の扱いは、配信中の映り込み・コメント・個人情報のページでも整理しています。
広告であることの表示:誰が、どこに、どのように示すのか
企業から依頼を受けて商品やサービスを紹介する投稿や配信では、それが広告であることが視聴者に分かるようにすることが、広告規制の面で重要になります。景品表示法は、事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、一般消費者に誤認されるおそれがある表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると内閣総理大臣が認めて指定するもの(5条3号)を行ってはならない、と定めています。広告主の表示であるのに、広告主の表示と判別しにくい表示は、この規定に基づく指定の対象として扱われています。
具体的な指定の内容、運用の基準、表示の例は、消費者庁が公表している資料の原文で確認する必要があります。ここでは、契約書の面から、配信者が確認する観点を整理します。
広告であることの表示について、契約で確認すること
| 確認すること | 契約での書かれ方の例 | 配信者の側の注意 |
|---|---|---|
| 表示の責任 | 広告であることの表示を、誰が行うのか | 表示の方法まで指定されているか。指定がないときは、自分で表示するのか広告主が指示するのか |
| 表示の位置と方法 | 投稿の冒頭、動画の冒頭、概要欄、配信中の発言 | 複数の場所に必要な場合の負担。配信と録画の両方で表示されるか |
| 表現の指示 | 広告主が指定した表現を使う | 指定された表現が、事実と合っているか。誇大な表現を求められたときの扱い |
| 露出の程度 | 視聴者が宣伝の存在を認識できる程度の露出 | 「目立つ」ことを求める条項と、「広告であること」を示す条項は別。どちらも書かれているかを見る |
| 修正・削除 | 広告主の指示で修正・削除する | 修正にかかる手間の費用と報酬への影響 |
契約に「宣伝が視聴者に認識されるよう行う」と書かれていることと、「広告であることを明示する」と書かれていることは、別の内容です。前者は露出の程度を求める条項で、後者は表示の方法を求める条項です。広告であることの表示が契約に書かれていないときは、配信者が自分で表示するのか、広告主の指示を待つのかを確認し、記録に残します。
作った動画や投稿の権利:配信者に残し、広告主には範囲を決めて許諾する
案件で作った動画や投稿の著作権は、契約に書かれていなければ、作った配信者に帰属するのが原則です。広告主は、その動画や投稿を自社の広告や広報に使いたい場合があり、その利用を許諾する形が一般的です。権利を広告主に譲渡する形の契約もありますが、配信者の側では、自分のチャンネルの継続に影響しないかを確認します。
条文の例利用許諾の条文の一般的な書き方の例
- 乙が本業務の過程で制作し、投稿または配信した動画、画像、文章その他のコンテンツ(以下「本コンテンツ」という。)の著作権は、乙に帰属する。
- 乙は、甲に対し、本コンテンツを、甲が自社の広告、広報、報告の目的で、○年間、日本国内において、非独占的に使用、複製、公開することを許諾する。
- 甲が本コンテンツを編集または改変して利用する場合は、事前に乙の承諾を得る。乙の名誉または信用を害する態様での利用はできない。
- 乙が本コンテンツに第三者の著作物または肖像等を含める場合には、乙は、自らの責任で必要な許諾を得る。ただし、甲が指定または提供した素材については、甲が責任を負う。
- 本契約が終了した場合、甲は、本コンテンツの新たな利用を停止し、乙の求めに応じて、甲が管理する場所に掲載したものを、○日以内に削除する。
期間・地域・媒体・独占性・対価は、実際の取引に合わせて決めます。
著作権を譲渡する契約では、27条と28条の権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は譲渡した者に留保されたものと推定されます(61条2項)。逆にいえば、広告主が改変や二次的な利用まで求める契約では、これらの権利が特掲されていることが多く、特掲されているときは、自分のコンテンツの再編集や二次利用を広告主が自由にできるようになります。著作者人格権を行使しない旨の定めも、範囲を確認します。同一性保持権は、著作者が意に反して改変されない権利です(20条1項)。
配信者が自分で制作した動画を、自分のチャンネルでも使い続けたいときは、広告主への許諾が「非独占」であることと、広告主の利用の範囲が限られていることを確認します。契約で独占的な利用が定められていると、配信者自身が動画を使えなくなるおそれがあります。権利処理の一般的な論点は、切り抜き・二次創作・ファンアートのガイドラインのページでも扱っています。
契約の期間・更新・解除と、起きがちなこと
案件契約は、短い期間で自動更新される形が少なくありません。月単位の自動更新では、終了を希望する場合に、相手方に通知する期限が月の途中に設けられていることが多く、その期限を過ぎると、翌月も契約が続きます。通知の期限、通知の方法(書面、電子メール、メッセージ)、通知の宛先を確認します。
フリーランス法16条は、特定業務委託事業者が、継続的業務委託に係る契約の解除(契約期間の満了後に更新しない場合を含む)をしようとするときは、特定受託事業者に対し、少なくとも30日前までに予告しなければならないと定めています(ただし例外があります)。継続的業務委託とは、政令で定める期間以上の期間行う業務委託で、その期間は6か月です(13条1項、施行令3条)。契約期間が短い月単位の更新でも、更新により6か月以上継続する場合は、継続的業務委託に当たる可能性があります。広告主から更新しない旨を伝えられたとき、予告があったかどうかは、この観点で確認できます。
契約を受ける前の確認リスト
- 報酬の単位と数え方、成果の定義、数字の確認手段が書かれているか。
- 報告の期限・形式、請求書の締切、支払期日が書かれ、支払期日が受領日から60日以内か。
- 虚偽報告の定義が、故意に限られているか。返還の範囲が、実施されなかった分に限られているか。
- 競業の制限が、契約中・契約後ともに、期間と範囲が必要な限度に収まっているか。
- 導線の義務の内容と、契約終了後に外す期限が書かれているか。
- 広告であることの表示の方法と、誰が行うかが書かれているか。
- 作ったコンテンツの権利が配信者に残り、広告主の利用の範囲(期間・地域・媒体・独占性)が書かれているか。
- 契約の更新、終了の通知の期限と、解除の手順が書かれているか。
起きがちなこと
- 成果単位の報酬で、広告主の管理画面の数字しか見られず、配信者の記録と食い違っても争えない。
- 虚偽の定義が広く、数え間違いが即時解除と、直近分の報酬の全額の返還につながる。
- 契約終了後も長く、同種のサービス全般の案件を受けられなくなり、他の収入の機会を失う。
- 広告であることの表示の方法が決まらないまま、広告主の指示の表現で投稿し、後から表示の不備を指摘される。
- 契約が自動更新されたことに気づかず、通知の期限を過ぎて、翌月も契約が続く。
- 広告主への利用許諾が、期間・媒体・改変の範囲が広いまま、自分のコンテンツを自分で使いにくくなる。
案件の契約は、一件ごとの金額が小さくても、同じ契約書を繰り返し使う広告主が多くあります。その場合、最初の一件で確認した内容が、以後の案件の基準になります。契約書の内容に納得できないときは、条文の修正を依頼する、条文ではなく別紙や合意書面で補う、受けない、のいずれかを選ぶことになります。トラブルになったときの確認の順序は、配信者・VTuberの契約でトラブルになったときのページに整理しています。
よくあるご質問
企業案件の契約書に署名する前に、最初に何を確認すればよいですか。
報酬の数え方(枠・成果・指標のどれか)、実施の証明の方法、虚偽報告や不履行のときの返還の範囲、契約が終わった後の競業の制限の四つを先に読みます。その後で、広告であることの表示、作ったコンテンツの権利、契約の更新と解除の手順を確認します。分からない条文は、そのままにせず、説明を求めて記録を残します。
「虚偽の報告をしたら直近の報酬を全額返還」という条項は有効ですか。
一律に無効とも有効とも言えません。債務不履行の損害賠償は民法415条に、賠償額の予定は420条に定めがあり、予定した額が過大であれば公序良俗に反して無効とされる可能性があります(90条)。虚偽の定義が故意に限られているか、返還が実施されなかった分に限られているかを確認し、必要なら範囲の限定を求めます。
契約終了後の競業の制限は、どこまで認められますか。
契約の内容は法令の制限内で自由に決められますが(民法521条2項)、制限が広く、期間が長く、対価が小さいほど、公序良俗に反するとして問題にされやすくなります(90条)。期間と対象を、広告主が守りたい利益に必要な範囲に絞る書き方を求めます。ただし、有効かどうかは、個別の事情と条文で判断されます。
案件の投稿に、広告であることを自分で表示する必要はありますか。
企業から依頼を受けた表示で、広告であることが分かりにくいものは、景品表示法5条3号に基づく指定の対象として扱われています。具体的な指定の内容と運用の基準は、消費者庁の公表資料の原文で確認が必要です。契約では、誰が、どの位置に、どのように表示するかを決めておき、広告主の指示がないときは、確認の記録を残します。
月単位で自動更新される契約を、やめたいときの注意点はありますか。
終了の通知の期限が月の途中にあることが多く、過ぎると翌月も契約が続きます。通知の方法と宛先も確認します。広告主が一方的に終了しようとする場合は、継続的業務委託(6か月以上)に当たるとフリーランス法16条の予告(少なくとも30日前)の規律が関わる可能性があります。更新により継続している期間も含めて考えます。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の契約への当てはめは、契約の相手方、取引の実態、プラットフォームの規約によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 公正取引委員会 / 消費者庁 / 文化庁 / 個人情報保護委員会